のみ込む力 鍛えよう

のみ込む力 鍛えよう

(2012年11月26日 読売新聞)
ものをのみ込む「嚥下えんげ」の力が弱ると、肺炎になりやすくなるそうだ。おいしく食べて健康を保つために、楽しく取り組めそうな「嚥下体操」を探してみた。
 
楽しく長寿 嚥下体操

 「いーち、にー、さーん」。長崎県平戸市の介護老人保健施設「ひらどせと」で、入所のお年寄りたちが、昔懐かしい笛のようなおもちゃ「吹き戻し」を吹き始めた。スタッフのかけ声に合わせて、紙の筒が一斉に伸びたり丸まったりする。

 毎日、レクリエーションの時間に30回ずつ吹いてもらうという。「遊びながら、のみ込む力を強くして、誤飲を予防するための訓練です」と歯科医の山部一実さん(64)が教えてくれた。

 難病や脳卒中によるまひなどで、口の筋肉や呼吸機能が衰えると、ものがのみ込みにくくなる。認知症で食べ方を忘れてしまった人も同様だ。食べ物や唾液が誤って気管に入ると、「誤嚥性肺炎」になりやすく、寝たきりになったり、亡くなったりする危険が高まる。

 同県佐世保市で歯科医院を開く山部さんは、訪問診療に回るうちに、嚥下障害のお年寄りが多いことに気付いた。1995年に「摂食機能研究会」を設立し、「おいしく食べるための嚥下体操」を考案。「吹き戻し」を使った訓練にも着目し、研究を重ねている。

 「ひらどせと」では5年ほど前から、体操と吹き戻しの訓練を実践している。「食べものをのみ込みづらくてむせる人が少なくなり、風邪もひきにくくなった」と課長の石田亜矢さん(50)は話す。

 山部さんは2004年、医師や言語聴覚士などと連携して「長崎嚥下リハビリテーション研究会」を設立し、「摂食・嚥下コーディネーター」の養成も行っている。「歯科や医療・介護の現場に、適切なケアができる人を増やしたい」というのが願いだ。

 詳しい人がいない場合、嚥下障害のお年寄りに食材を細かくした「刻み食」を出すようになるケースが多いという。「刻み食は誤嚥しやすく、肺炎のリスクが高まる。食欲も落ち、さらに全身の機能が弱るという悪循環に陥りかねない」

 まずは原因を調べ、状態に合わせた訓練や口腔こうくうケアを行っていくことが大切だ。「できるだけ口から、おいしく食べてもらうことで、お年寄りの健康寿命を延ばしたい」

歯科や介護施設でも

 嚥下体操は、各地の歯科や病院、介護施設などがそれぞれの工夫を取り入れて実践している。

 熊本県歯科医師会はホームページで、家庭で取り組める簡単な体操例をイラストつきで紹介。
長崎県歯科医師会のホームページでも、体操例を見ることができる

[PR]
by hayashi_shika | 2012-12-10 05:37 | 健康情報
<< 肺炎予防に口腔ケア 第40回三重歯科・口腔外科学会 >>